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2017/10
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増資インサイダー問題、取りあえずの纏め
 この3月以来増資インサイダー問題の揺れた大手証券会社ですが、週末に野村の同問題に対する社外弁護士の報告書が公表され、また海外大手ヘッジファンドの日本板硝子公募増資に絡んだインサイダー取引で、大和からの増資情報の漏えいが報道されました。これで、増資インサイダー問題に関して大手3社と米証券1社の合わせて主幹事証券4社による公表前公募増資情報の顧客への伝達が確認されています。

 公表された野村の報告書を読むと、ファンド・マネジャーなどを顧客とする営業部隊によるファイナンス情報を集める生々しさが伝わってきます。また、営業部隊への情報漏洩のルートになったシンジケート部(引き受けた公募株の販売上の責任部署)での情報管理の問題も顕わになっています。今後、野村は業界のトップ企業として、この増資インサイダー取引撲滅のために、インサイダー情報管理を徹底してくるようですが、この増資インサイダー問題の本質的なことは、もう少し別のところにあるように思います。

 先ず、かねてより噂のあった海外ヘッジファンドによる日本株公募増資銘柄の空売りが、今回2件(東京電力と日本板硝子)明らかになった訳ですが、日本でのエージェントを使ってその情報収集を行っていたというのは、組織的な方針と言わざるを得ません。インサイダー取引は、市場への背信行為であるとともに先進国では犯罪行為ですが、ヘッジファンドの行動特性として何らかの矛盾や歪みを是正しようとする方向に圧力をかけることを思い起こせば、日本の公募増資が制度的に問題あったのではないかというところに至ります。

 例えば、大規模なファイナンスについては大きな既存株主の希薄化をもたらしますので、第三者割当増資の場合、既に実質的に規制されて発行済み株式総数の25%以上を発行するような時は、外部の第三者委員会による判断か株主総会での合意が必要です。しかし、公募増資に関しては4割でも7割でも希薄化が進むようなファイナンスが、取締役会決議だけで実施出来ます。その為、発行企業側の自社株の希薄化や株価水準に対する対策、既存株主への利益還元などのファイナンスに関する資本政策は重要で、少なくとも公募増資が売り材料とならない工夫が必要です。

 次に、引き受ける証券会社側の問題ですが、本来は販売出来るだけ引き受けるべきです。また市場が受け入れ可能な金額をどう判断するか重要で、今回野村で情報ルートとして問題となったシンジケート部は、自社内や他社の投資家を含めた市場の需要を判断する機能がある部署でした。現状は、野村に限らずこの機能が低下しているのではないかと思われます。理由としては、公募増資などは大型化しているものの件数が少なく、その為主幹事1社で出来るだけ多く販売しようとするバイアスがかかりがちです。その為、他社の需要を取り纏めるシンジケーション機能が劣化しているといった問題があります。
(この事例としては、最近のフェースブック上場における主幹事モルガンスタンレーの例があります。)

以上を簡単に纏めますと、発行者側が公募増資に対する発行者としての規律、引受主幹事証券は公募増資の引受に関する規律、其々が緩んでいたところを海外ヘッジファンドなどにファイナンスの欠点として突かれていたとも言えます。もう一度、公募増資のあり方を見直す時ではないでしょうか。

(何も公募増資でなくとも大規模なファイナンスは可能ですが、ライツ・オファリングやCBなどの代替手段や、情報管理面では発行登録を利用したエクイティファイナスなどが考えられます。ただ、基本的には発行会社のファイナンスによる企業価値向上が投資家に理解されることなので、資金使途などのディスクロージャーの充実が大切です。)


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