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2017/07
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CB(転換社債)が復活する為に
 前回はCB(転換社債)の現状を見ていただきましたが、現在、利用する上場会社数が30社程度で、1日平均の売買高が10億円(国内公募CB)にも満たないこの金融商品はもう時代的な役割を終えた過去の公募ファイナンス手段なのでしょうか。
 少なくとも既存株主にとっては、時価以下で新株が発行される公募増資よりは、時価以上で転換価格が高く設定されるCBの方が、同じ公募ファイナンスでは好ましく思えます。また投資家にとっては、元本が確保されない株式投資よりは、元本での償還を約束したCBの方がリスクは低くなるはずです。発行者にとっても社債に株式への転換権を付与するCBは、本来は資金調達コストを抑えるよい方法でした。それで、前世紀には国内転換社債市場は、利用する上場企業数は400社を超え、発行残高も10兆円を超える市場でした。

 CB発行市場の変化は、丁度名称が転換社債から新株予約権付社債と名称が変更された前後から起こり始めているように思います。それまで転換権という漠然とした概念から、新株予約権という考え方に、CBの転換権も、ワラント債のワラント部分も、ストックオプションも、買収防衛の為のポイズンピルも、全て統一されました。このことは、今の会社法の前の改正商法で新株予約権制度として導入されましたが、日本の資本市場は、この新株予約権制度を十分に使いこなせておらず、すこし新株予約権そのものに振り回されているように思えてなりません。CBの新株予約権も然りです。

一つには、会計制度での扱いですが、CBが普通の社債より金利を安く発行出来るのは転換権=新株予約権が付いている為なので、その部分を社債から割り引いて発行されていると見做して、仮の費用として計上すべきではないかとの考え方です。この会計上の考え方は、現在のIFRSなどで主流ですが、時価会計を旨とするIFRSなどでは、さらにこの新株予約権部分を毎年時価で見直し費用計上の修正を加えるべきではないかとの考え方も示されています。(なお現在の日本の基準では、昔の通りCBの金利部分だけを費用として計上する方法もまだ認められています。)重ねるように複雑に書いてしまいましたが、簡単に言い切ると、CBの発行は企業にとっては現状では経理上の資金調達コストが増加する可能性のある調達方法だということです。

2つ目は、現行の国内CB上場制度です。BBB格以上の格付け取得が必要ということと、20億円以上の発行が必要な為に、規模の小さな上場企業では利用できないような仕組みになっています。また、発行残高がある限り、格付け期間のレビューを受けなければなりませんが、これも企業の負担を増しています。

3つ目は、CBはその転換権=新株予約権の内容を自由に設計できるはずですが、この商品設計の多様性の方は、制度的に一部の投資家の裁定取引に悪用されたMSCB以降、余り目立って新しい取組みななされていないように思われます。

以上3つは、CB市場の復活を阻害している要因や現象ですので、これらの緩和・解消がCB市場復活には必要です。すなわち、
○国内企業の有力な資金調達手段として、経理上も実務的にも発行コストが安い調達手段であること。
(企業の資金調達目的に合わせた、会計処理論点の再整理)
○比較的小規模でも、公募CBの発行が可能となる制度緩和がされること。
(新しいCB上場制度の検討)
○多様な商品供給の為、業界からのCBの新しい商品性の例示やプロ市場・少人数私募の利用促進
(例えば、リキャップCBの発行推進などは実施しやすいのでは。・・)
などが考えられます。
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