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2017/10
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公募増資情報は、何故売り材料なのか
 増資インサイダー問題の背景には、日本の発行市場における構造的な問題があるように思います。それは、公募増資が一般の投資家にとって売り材料になっている事です。
●公募増資による新株が市場に出回れば、市場の需給関係が大きく歪み、供給過多になってしまう。
●上記のイメージを前提に、株主が新株の購入に備える為、一旦保有する株式を売却する可能性が高まる。
何れも、新株の供給過剰を意識した投資家のイメージですが、現状の日本市場において、公募増資はこれら需給悪化材料として捉えられることが多いと感じています。

 しかし、上場企業が大規模に資本を調達するという事は、思い切った投資を行い、その結果将来の企業価値を大きく拡大させる可能性がある訳ですから、公募増資は本来買い材料でなければなりません。
少なくとも、証券会社が公募増資の主幹事を引き受ける場合、これらの調達資金の使われ方やその投資が生み出す効果などを厳密に調査し、先行きの企業業績を分析した上で、企業価値が増加すると判断するので新株の販売を引受ける訳ですから、その引受証券会社にとっては将に公募増資情報は買い材料なはずです。

 そうなると、現在市場で受け取られる公募増資情報と主幹事証券が把握する発行企業の情報のギャップが大きいということになります。同じ企業の公募増資でも、片や売り材料、一方は買い材料となるのですから、誰がこの情報格差を埋める作業が必要になります。

○当然ですが、投資家との情報ギャップを埋める第一の当事者は、発行企業です。
公募増資の発表時までは、増資に係る投資計画を明らかにすることは出来ませんが、そこ公表時点で投資家にその内容や効果などが受入れら易いように、日頃からIR活動を通じて将来のビジョンや経営計画を投資家に発信しておくことが望まれます。

○2番目の情報ギャップを埋めるのは、新株の販売活用を行う引受会社です。
投資家が今まで発行会社に対して気付かなかった将来性をアピールし、新たな投資需要を掘り起こすのが引受会社の役割です。しかし、現状では引受判断を行う時に発行会社から入手した情報を販売活動に使うことは出来ません。販売活動に利用できる情報は、目論見書に記載された情報のみなので、既に発行会社が公表している情報を投資家に伝えるしか出来ません。

一方、情報ギャップは埋まったとしても、投資家の新株に対する需要が無限に生じるわけではありませんから、新株に対する需要を予測し新株の発行額を決める必要があります。この事は、引受証券会社の主幹事の大事な機能でしたが、今回の増資インサイダー問題で次の様な懸念が明らかになったと思います。

●引受証券として、投資家需要を予測する機能が落ちている可能性が業界全般にある。
主幹事証券が新株の販売を集約して、自社内での販売分を増加させようとした傾向が近年続いていたので、他社の需要を推し量る機能が低下して、その為市場全般の需要掘り起こしとそのニーズ調査に関する能力が落ちて行ったと思われます。

以上の状況を変えて行く為に、
○発行会社が自らの責任で資金使途の効果を説明できるロードショーの様な取組みを可能とする。(投資家との情報ギャップの埋めるため)例えば、投資家自らがアクセスするネット上に限って。
○広く新株が販売可能となる為、新株を取り扱う証券会社数を増加させ、主幹事が可能な限り多くの証券会社を参加させたシンジケート団のコントロールを行う。
といったことが行政・業界で検討されることを望みます。

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