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望まれるライツ・オファリング=その1
 10月1日、我が国では2例目となるエー・ディー・ワークスのライツ・オファリングが公表されました。2010年3月のタカラ・レーベンに次いでのライツ・オファリングとなります。この資金調達に関する評価は、株主や投資家が行うべきなので控えますが、広く投資家を募る公募ファイナンス方法としてのライツ・オファリングが多く使われるようになる事を期待しています。

 標題の様に、“望まれる”と書いたのは、今の時点で日本におけるライツ・オファリングは望まれるようなかたちになっていないのでは、といった意味を含めました。そもそも、ライツ・オファリングについて、誰がどの様な効果を望んでいたかという事から簡単に説明したいと思います。

 当然の事ですが、ファイナンスである以上、ライツ・オファイリングを望んでいたのは大規模な資金調達を実施したい上場企業でした。通常の大規模な公募増資に対し、主に欧州企業などが大型の資本調達に利用しているライツ・オファリングは、次の2点で優れていると考えたからです。

○既存株主に対して、大規模な資本調達をした際に引き起こる希薄化のダメージを、最少限とすることが出来る。
例えば、発行済み5割にあたる公募増資を実行しようとした場合、既存株主は5割の希薄化による株価下落のダメージを受けるのですが、ライツ・オファリングでは既存株主はライツを売却することで、希薄化に伴う損失分を補うことができます。

○増資インサイダーなどで問題になった公募増資過程で起きる増資情報漏洩を防ぎ易い。
公募増資は、公表前に長期に渡る事前準備期間(少なくとも2~3ヵ月前)が必要ですが、引受証券が事前に海外投資家に行うような需要調査(ソフトヒアリング)などで、増資情報が漏れやすいとの認識は発行会社サイドにもありました。株主が中心となるライツ・オファリングでは、この事前の需要予測を行う必要がないので、情報管理は公募増資より行いやすいのです。

この様な利点があったにも係らず、結局公募増資による資本調達を行ったのは、以下の様な理由からでした。

●必要な額の資本を調達する為には、株主や投資家が行使しなかたライツ(上場されるて売買可能な新株予約権)を証券会社に割り振り直し、新株として一般の投資家に販売するコミットメント型が注目されていたが、制度として整備されていなかった。
大規模な公募増資の代替手段として、コミットメント型ライツ・オファイングが注目されていましたが、コミットメントする証券会社の行為としてライツに関する定義が明確ではありませんでした。

●ライツ・オファリングの実務が煩雑だったり、対応が異なったりすることなど、スキームとして確立していなかった。
例えば、目論見書の問題ですが、株主全員に配った後、投資家にも提供する必要がありました。また、ライツ・オファリングは公表から払込まで期間が3ヵ月近くかかるので、開示事実が発生する度、訂正分を配布する手間とコストが懸念されました。

以上については平成23年度金商法改正で整備され、本年4月からは上記の様な障害は少なくなっています。少なくとも、大規模な公募増資の代替手段として、コミットメント型ライツ・オファリングの法制度を中心とした体制整備は行われたのでした。

但し、“望まれる”部分で、また未達のところ、大規模な公募増資の代替手段ではない使われ方について、次回に触れたいと思います。


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