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ボラティリティETFから見えるいくつかの問題点
 2010年12月、大証に日本で初のボラティリティ(市場の変動率)に投資するETFが上場されました。ETFの名称は“S&P500 VIX短期先物指数”で、国際投信投資顧問が同名の先物指数との連動を目指したファンドです。リーマン危機後、恐怖指数として有名になったVIX指数と連動するものではありません。

少し込み入って煩わしいですが、VIX指数、VIX短期先物指数、上記のETFの関係を少し説明します。

① 先ず(恐怖指数=通常の株価指数と逆相関関係にあるのでこのように呼ばれる)VIX指数は、CBOE(シカゴオプション取引所)が、S&P 500種指数のオプション取引の値動きを基に算出・公表しています。この数値が高いほど、投資者が相場の先行きに不確実性を感じているとされています。
② 次に、ETFの名称にもなっているVIX短期先物指数は、CBOEに上場されているVIX指数先物の第1限月の先物を売却し、第2限月の先物を買付ける取引を日次で行い、加重平均した残存日数を1ヵ月に維持する取引を行った場合のリターンを指数化したものです。
③ そして、大証に上場されているETFは、2番目の指数に連動することを目指した指数連動債(ETN)にほゞ100%投資されるファンドです。つまり、海外に上場されているボラティリティETN(ETFはファンドで、ETNは債券、指数に連動しようとする目的は同じだが、設立根拠法が異なる)を日本で円建てで取引する為、リパッケージしているようにも見えます。
 
このファンドを通して、ETFについていくつか見えてくる問題点があります。
●何に投資しているのか=投資家のイメージと合っているか開示上の問題は
このファンドの場合、名称となっているVIX指数に連動していないことが個人投資家にどの位理解されているかが問題です。目論見書の記載では上記の①と②の違いに関して説明が少し分かりに難いものでした。なお、販売用資料には両指数がグラフ化され表示され説明文も並列で記載されていますので、解り易くなっています。
●連動するとしている指数と実際のETFの価格差の問題
次に、このETFの市場での価格が、指数からみて割安なのか割高なのか分かり難いといった点が挙げられます。日本株関連のETFに関しては、日中リアルタイムで理論価格であるインディカティブNAV(推定一口当たり純資産価格)が公表されていますが、海外株価指数ETFに関してはこれらの公表がありません。
●指数に連動するスキーム上の問題
これらETFやETNの取引が急増したり急減したりした場合、実際の指数先物取引を行って資産を購入したり売却したりするオペレーションを多くする必要があります。例えば、上記のVIX短期先物指数に連動するETNが、急激に買われた場合、CBOEに上場されているVIX指数先物の第1限月の先物を大量に売却し、第2限月の先物を大量に買付ける取引を必要があります。普通はこの様なオペレーションを引け間際に行うことが多いのですが、ヘッジファンドなど他の取引者がこれを見込んで先に売買すれば、値幅が増大していく可能性もあります。
(この事に関しては、日本経済研究所志馬氏“米国ボラティリティ商品市場の拡大とトラブル~クレディ・スイス発行のETNを巡る問題”に詳しく書かれています。)

以上を簡単に書きますと、ETFは情報開示の問題、理論価格情報の問題、対象指数との価格連動の問題があると言えます。ETFは例え複雑な投資対象であっても、個人投資家が小口化・単純化して取引できる投資対象なので、取引所や運用会社などの皆様が改善を進めていくことを期待しています。

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