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2017/08
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インサイダー取引規制議論を起点に、日本市場の問題点を考える
 現在、金融庁の金融審議会においてインサイダー取引規制に関し、その見直しが行われている。昨年に続いて2年目の作業となるが、今年は増資インサイダー問題顕在化があって、
・今まで法律上の罰則がなかった情報伝達者への罰則をどう考えるか
(増資インサイダー取引の事例では、引受証券会社内から、特定の投資家に対してインサイダー情報が漏れた)
・課徴金の計算方法を見直すべきか
(ファンドの運用者がインサイダー取引を行った場合、その経済的利益が対象となる現行ルールでは、売買で得た利益ではなく、運用報酬に対して課徴金額が決定される。その為、少額の課徴金が問題視された。)
・企業の経済活動や投資家の行動に支障のないインサイダー取引規制の見直しをどう考えるか
(現行ルールでは、株式交換など組織再編において支障のある場合も想定される。)
以上の3点を中心に規制の見直しが検討されている。

 誰でもが参加しやすい公正で透明性の高い市場機能を確保する為には、必要な事なので期待したい。但し、誰でもが参加しやすい市場である為には、インサイダー取引規制も解り易くあるべきだ。その意味で、言葉の定義も含めて、ルールの簡素化、ケーススタディーの詳細化などが望まれる。

 一方、インサイダー取引の中核材料となるのは、公募増資と公開買付(TOB)だろう。TOBの方は、企業の支配権を獲得する為、市場価格に数十パーセントもプレミアムがつくので、明らかに買い材料だが、公募増資が売り材料となることに、現在の日本市場の問題があるのではないだろうか。
 何故、公募増資が売り材料なのだろうか。
“企業がリスクマネーを調達することで、思い切った事業戦略が実行され、次の成長に期待できる”
多くの投資家がこう考えれば、公募増資は本来買い材料となっても良いはずだ。しかし、現実にこうならないのは、次の様な問題があるからだろう。

●企業の成長戦略が理解されない
投資家に理解される為には、以下の様なディスクロージャーの充実が必要だ。
・先ず、公募増資で調達した資金が、どの様に事業拡大の効果を上げるか、投資家向けに説明しなければならない。
・日頃のIR活動やディスクロージャーを通じて、事業戦略が株主や投資家に理解されなければならない。
・公募増資後、事業の進展に関して、積極的に情報発信を行うべきだ。

●目先の供給増懸念が先行し、新たな投資家需要が期待されない
投資家需要を掘り起こす(勧誘行為)のは、証券会社の仕事だ。その為、以下の様な改革を行っても良いのではないだろうか。
・現在の少数の引受会社に絞って、公募株を販売する方法を改め、出来るだけ多くの証券会社が販売活動に参加できる公募方式を検討する。

●一般の株主に配慮される方法が取られる事が少ない
短期的な株価下落に耐える株主に対して、増資後のメリットを策定すべきではないだろうか。
・例えば、増配や株主還元など、実質的利益配分の増加も考えられる。
また、株主の希薄化を避ける増資方法として、ライツ・オファリングの定着が望まれるが、
・決まった金額を調達するのに適した公募増資の代替手段として、コミットメント型ライツ・オファリングの証券会社における実務対応の確立が期待される。

以上の結論は、今の公募増資の仕組みが古くなって、現状の市場環境に適していないという事だ。


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