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2017/08
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投資からみた確定拠出年金制度(日本版401K)の問題
 現段階で資産形成の為の最大の非課税制度は、約440万人が加入する確定拠出年金制度だ。今後、日本版ISA(少額投資非課税制度)が整備されても、当面は非課税の投資制度としての首位は代わらないだろう。公務員や専業主婦などがこの制度に参加すれば、更に拡大が期待される。
 ただし、この制度は国の年金制度の中に組み込まれているので、その年金に関する政策などの影響を大きく受ける。12月7日に東証で開催されたシンポジュウム“転換期を迎える年金制度~年金の将来と確定拠出年金の拡充に向けて”から、投資という視点での問題点を取り上げてみたい。

タワーズワトソンの浦田氏は、次の様な指摘をされた。
●低い拠出限度額=給与に対する拠出限度額の比率が、後発のアジア諸国よりも低い。その為、全体で6兆円のマーケットで規模が小さいので、運用機関にとって不採算ビジネス。
●60歳引出し要件=本来、この制度は中小企業にとって退職給付の為の退職一時金が原資。60歳まで引き出せない現制度では、途中で退職することも多い中小企業での本格導入は望めない。
●商品入れ替え規制=確定拠出年金法第26条によって、投資商品の除外が容易に出来ない。その為、投資商品の入れ替えが起きにくく、新しい商品も追加しにくい。結果として、運用会社による競争を阻害している可能性がある。

また、名古屋市立大学の臼杵教授、企業年金連合会の山崎氏を加えたパネルディスカッションでは、確定拠出年金制度加入者の投資運用に関する意識の低さも指摘されていた。これについては、次の様な考え方が示された。
○当初の運用開始時に、企業側がいくつかの運用パターンを示し、従業員に選択させる方法
○当初の運用開始時に、運用のポートフォリオを組んだファンドを強制的に割り当てる
○企業側が、運用を行わない従業員に代わって、従業員資金の運用を指図する(企業による運用受託)

確定拠出年金制度で運用されている資金の約3割強が投資信託(その他運用の半数が預貯金、残りが保険)ということだが、現在約1.8兆円の投資信託残高がある。これを200近い運用機関(加入者の口座の管理する金融機関)で対応しているので、現状では確定拠出年金制度での投資信託販売は、金融機関にとってのビジネスとしてメリットが小さい。しかし、上記の問題に加え、この制度での投資には、次のような実務上の運用障害のような事がある。

●Aファンドを売って、Bファンドを買うと言う場合、株式などの売買の様にこれを同時に行えない。Aファンドを売った代金が入金されてから、Bファンドの買付けが実行される。確定拠出年金制度は、少なくとも60歳までは個人が口座から資金を引出せないのだから、投資商品の乗換えはもっと利便性を向上させるべきだ。

●運用機関によって、投資可能なファンドが違う事は仕方がない。しかし、運用機関を変更しようとした場合、企業型は事実上難しいし、個人型も移行までに一月近く時間がかかる。また、会社を替わったり、辞めたりした場合も、加入制度の変更が求められ、一旦保有ファンドを売却し、新しい制度で買い直すという事になる。この制度の定着・拡大を望むなら、加入者個人にとって、運用機関の変更・就業先の変更などの際、運用商品を持ち運び容易とする仕組みが必要なのではないだろうか。

以上、国が進める投資制度としては、投資家の立場に沿った改革が求められている。

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