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2017/10
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インサイダー取引をとりまく問題点
 2年連続で金融審議会においてインサイダー取引規制について議論されていますが、現状のインサイダー取引に係る問題について、簡単に纏めておきたいと思います。

●証券会社が情報提供者となるインサイダー取引
 インサイダー取引に繋がる未公開の情報を、誰かに伝えただけでは規制違反とはなりません。しかし、明らかにインサイダー取引を行うものに、インサイダー情報を伝えて良いのかということが問題になりました。例えば、ヘッジファンドを担当する営業部員が未公開の増資情報を伝えて大量の売買注文を獲得するケースです。勿論、証券会社としての守秘義務違反とか業界の行動規範違反といったペナルティーは現状でもあります。しかし、インサイダー取引違反として、これを罰する規定は現状ではありません。
金融審議会で纏められた報告書では、この様な情報を伝えた者を、インサイダー取引が実行された場合に限り、規制違反の対象とする方向性が示されました。また、多くの投資家の売買注文を取次ぐ立場にある証券会社が、この様なインサイダー情報の提供を取引推奨目的で行った場合、より罰則を重くすべしとの考え方が示されています。
例えば、インサイダー取引規制違反の課徴金について、取引相手の3ヵ月間の手数料や増資に関係する場合は引受手数料全てを対象とすること。また、違反者の指名の公表などです。

●ファンドなどの運用者がインサイダー取引を行った場合の罰則の強化
 現行ルールでは、ファンドの運用者がインサイダー取引を行った場合、インサイダー取引で上げた利益相当が課徴金の対象とはなっていませんでした。運用者が、運用報酬として得た経済的なメリットが対象となっていますので、一般のイメージからすると、インサイダー取引で億円を超える利益を得たとしても、数十万円の課徴金(運用報酬増加分)で済んでしまうのは何となる違和感がありました。この運用者に対する課徴金計算対象を、例えば3ヵ月間の運用報酬全額を対象にすべきとの方向性が示されました。

●TOBに係るインサイダー取引規制の整備
 この分に関しては、規制の強化と緩和の両面があります。規制強化の方は、TOBに関するインサイダー取引の増加もあって、現在の規制でいう“公開買付等関係者”の範囲を拡大しようとすることです。“公開買付等関係者”は、TOBでなければ対象企業の株式を買うことが出来ませんが、実際は買収される側が事前に買い手からTOB意向を伝えられる事が多いのが現状です。その買収される側も、この“公開買付等関係者”としようとの考え方が示されています。

 また緩和の方は、現実の企業の経済活動を妨げない対応が検討されており、この“公開買付等関係者”から以下の者を適用除外すべきとしています。

・TOB実行者が、他の競争相手(潜在的な対象企業の買収者)に情報を伝えた場合、現行ルールでは対抗買付に関してはインサイダー取引になる可能性が高くなります。例えば、TOBの公表前は勿論、TOB公表後もTOB終了まで他の競争相手は、“公開買付等関係者”となる為に対抗買いが実行できません。TOB実行者・他の競争相手が適正に競えるように、このような場合の競争相手による対象会社株式の買付けを認めるべきとしています。

・例えば、TOBが公表された後やTOB意向を伝えられてからTOBが実行されず6ヵ月以上経過した場合などの状況を適用除外として想定しています。

・また既に適用除外となっているインサイダー情報保有者間の相対取引(クロクロ取引)に関して、企業再編を活発化する為に、その対象範囲を拡げる方向性が示されています。

・インサイダー情報を知る前から売買契約をしているような所謂“知る前契約”の適用除外に関して、その類型が示され適用除外されていますが、経済活動に支障があるので除外範囲を拡大していく方向性も示されています。


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