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2017/08
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資本市場改革はアベノミクスに貢献できるのか
 アベノミクスの3本目の矢が出揃ってところで、市場はある程度調整するのではと市場関係者が予想していた事でしょうが、まさかこれほどの荒い値動きになるとは多くの方々の想定外の動きとなっています。
まるで新興国市場の値動きを見ているようで、つい比較的落ち着いている米国市場を羨望してしまいますが、日本が再生するための成長への期待とその反動と思えば、改めて足元の成長戦略を見直すという事ではないでしょうか。
 その成長戦略において、資本市場の役割は“新規・成長産業等へのリスクマネー供給を増加させる”ということですが、その為の新たな施策・既存制度の改正に関して、現在金融審議会において議論されており、来年の通常国会での改正金融商品取引法の成立を目指しています。
 簡単に言い切りますと、新規事業などの立上げや成長企業のファイナス(資金調達)を行い易くしようとの方向性です。以下、現在検討されている事項について簡単にコメントします。

【金融仲介業者の活用(クラウド・ファンディング)】
 現状でもインターネットを利用した資金集めとしてクラウド・ファンディングは行われています。しかし、それは投資ではなく寄附行為に近いものです。例えば、音楽のイベント、スマフォのアプリ作り、地域特産食品の製造支援などでしたが、一時的には東日本大震災後の被災企業支援などにも使われました。
 この仕組みを、新規事業や成長企業への投資にどう結びつけるかが問題となります。現在、個人の投資は、証券会社などの金融商品取引業者を通じて行われますが、この現行制度の枠組みを利用して個人投資家の投資リスクを制限しながら、成長性の高い成長企業への投資に結びつけていく事が課題となります。

【地域における資本調達を促す仕組み】
 現在、一般の個人投資家が投資可能な未公開市場としてグリーンシート市場がありますが、この市場は日本証券業協会ルールのもとに運営されているものの、資本市場として機能しているとは言い難い状況です。つまり、この市場の銘柄を取り扱う証券会社数が極端(実質的に2社程度)に少なく、取引も少ない状況なので、市場の価格発見機能に疑問符がつきます。その為、上場している企業のファイナンスなども実質的に難しい状況です。
この市場改革を兼ねて、新たに地方証券会社や地域金融機関などを市場仲介者とし、彼らの地元にある企業の株式の換金の場や、地元投資家を前提としたファイナンスを可能とする市場に、グリーンシート市場を変えていくことが検討されます。簡単に言いますと、地域証券を使って、地域の未公開企業の株式売買や資金調達を可能とする仕組み作りです。

 以上の2つが資本市場のアベノミクス対策としては重要なのですが、以下のことも改正していくべきこととしています。(※筆者の感想は、現行制度の技術的な手直し)

【新規株式公開における事務負担の軽減】
 現在では最低2年間の監査済み財務諸表が必要ですが、これを新興企業に限り1年分としたり、内部統制報告書提出義務を上場後も一定期間免除することが検討されており、これにより監査法人にかかるコストや開示負担が軽くなることが予想されます。

【新規株式公開時の株主規準の見直し】
 例えばマザーズなら上場時に300名以上の株主となることとされていますが、現在は同基準に合わせて上場時公募増資などで株主作りを行っています。この基準が下がることで、より小型の成長企業も上場することが可能となることが想定されています。

【上場企業の資金調達に係る期間の短縮】
 現行は、ファイナンスの決議を行い、募集するために有価証券届出書を提出しますが、7日経過後から投資家からへの勧誘行為が可能となります。これを短縮することついて、筆者としては個人投資家を相手に募集するのであれば、ファイナンス内容の周知徹底が必要なので余り意味を感じません。むしろ、発行登録制度の利用基準を下げて、多くの上場企業が正式なファイナス内容決定以前に、募集活動を行い易くする方が公募ファイナンスの利用拡大につながるように思います。

【有価証券届出書提出前の勧誘的な活動に係る整理】
 現行制度は有価証券届出書提出前には勧誘行為が出来ない仕組みになっています。しかし、引き受ける証券会社からみると、この公募株はいったいいくら販売可能か市場ニーズの調査を行いたいと要望があるようです。これに対しては、前文節で説明しましたのと同様に発行登録制度を活用すべきではないかというのが筆者の考えです。

【大量保有報告制度の見直し】
 例えば現行制度では対象となる自社株取得を除外することや、個人の場合の記載情報の見直しが検討されそうです。

【虚偽記載等に係る賠償責任】
 無過失責任議論は、東電の原子力事故を背景に盛んになっていますが、ちょっとした(?)虚偽記載(例えば子会社の時価評価ミスや課税処理忘れなど)で、市場で売買している投資家などから損害賠償責任(無過失責任として)を負うべきかという企業側の論点があります。企業としては、内部統制報告など開示負担に耐えているのに、投資家保護名目としても厳しすぎるのではというところでしょうか。

 何れにせよ、成長戦略に相応しい市場の成長や変革を促す改正がなされることを期待しています。

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