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2017/08
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ファイナンスの季節に、改めてその役割を考える
 公募ファイナス(公募増資やCB(新株予約権付社債)などで、一般の投資家から資金調達する)は、7月に増加する傾向があります。7月に入って8日までに、公募増資が7社、CBが1社の発行決議をしていますが、特に公募増資は、1000億円以上を調達する大型ファイナンスが、電通・大和ハウス・オリンパスと続いています。何故、7月に公募ファイナスが多いかというと、次の様な実務的な要因があるように思います。

・3月期決算企業は、1~3月に次年度の事業計画を纏めますが、同時に資本政策や資金調達計画が策定されます。
・3月期決算企業は、その後、本決算発表・株主総会と重要なイベントをこなしていきますが、資本政策を株主より授権(会社法上、株主より任されているという意味です)されている取締役会としては、株主総会直後が最も決議しやすい時期となります。
・公募ファイナンスを行う為には、直前の企業情報を投資家に示す必要がありますが、3月期決算企業では6月下旬の株主総会後、前年度の有価証券報告書が提出され、この情報をもとに投資家への開示が行われます。
・また、公募ファイナスを引受ける証券会社の引受審査では、この情報をベースに引受判断が行われます。
以上から、7月は公募ファイナンスが増加する傾向があります。

 公募ファイナンスによる資金調達は、直接は既存株主に希薄化をもたらしますが、調達した資金が新たな事業に投資され企業価値を高めるのであれば、既存株主も当該企業の株式保有を継続し、新たに投資する投資家も増えます。問題は、既存株主・投資家にとって、このファイナンスが企業価値を高めるかどうか判断可能な情報提供がされているかです。目論見書が既存株主やその企業に関心ある全ての投資家に配られる訳ではないので、ファイナンス決議時の記者発表文における記載内容が重要になってきます。

 今年は、公募ファイナスが増加しており、年初から公募増資では53社(うちJ-REITが16社)、CBは16社(7月8日までの発行決議状況)が発行決議していますが、昨年1年間の49社(うち、J-REITは11社:日本証券業協会調べ)を既に超えています。このことは、日本市場が回復して発行市場機能が有効に働いているので、好ましいことです。しかし、供給が過多になれば、どの様な市場でも崩れてしまうでしょう。バブル期の1989年、金融危機直後の2009年、日本市場の公募増資額は、いずれも5兆円を超えました。その結果、損失補填や増資インサイダーなどの問題も表出しました。せっかく増加した企業に資金調達ニーズが、市場に良い効果を及ぼすためにも新たな投資ニーズの拡大が重要で、その為に市場仲介者である証券会社の役割は大きいものです。

普段、一般の投資家が余り気付かない引受証券会社の役割として、次の2例を上げておきます。

 昨年末から、J-REITの公募増資が増えており、不動産投資の活発化の為に好ましいことです。ただ、現状のJ-REITは、一般の上場会社と違って増資情報はインサイダー情報になっていません。先の通常国会で成立した改正金商法では、改めてJ-REITの増資情報をインサイダー情報としますが、これは来年以降の施行です。それでは、増資インサイダーなどのように公募増資に絡んで不公正な取引がされないかどうかですが、J-REITの公募増資を引き受ける証券会社では、株価審査といって関係者の売買や価格形成に問題がなかどうかの確認を行います。

 2つ目の役割は、新しい投資家の発掘です。例えばオリンパスの今回の公募増資の様に、海外で全て募集を行う公募増資であっても、その影響は既存株主や国内の投資家にも及びます。海外募集のみを選択した理由が公表されていなのでの、分からない部分もありますが、海外の投資家のオリンパスに対する投資ニーズが強いことを発行者に薦めた結果です。今回の資金使途に見合って、中長期の投資家を発掘することが海外主幹事証券にも求められます。また、金融商品取引法は国内ルールではありますが、1昨年から導入されている空売りした投資家(日本株貸株市場で株式を調達して、市場で売却する)に対して、公募株が割当てられないルールの遵守なども、主幹事証券の責任において行われることです。

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