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2017/08
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11月から変わる“空売り規制”~関係者が考えた事とその背景
 既に何度か取り上げていますが、11月5日から“空売り規制”が変更されます。
法規制変更の概要は、拙稿
☆空売り規制の全体像について(3月11日公表)
で示していますが、改正に際してのパブリックコメントの募集とその回答が、8月21日に金融庁より公表されています。その概要は、以下の様なものに纏められると思います。

・海外ファンドや機関投資家などが、株式を売却する場合、注文をうける証券会社は“ネイキッド・ショート・セリングの禁止”規定により、株式の保有しているか若しくは借りているか確認する必要がありますが、この確認義務について今より厳格さが求められると証券会社が考えているようです。

・“空売り規制”がPTSでの取引にも及ぶようになるため、PTSでのアップティック・ルール(売り下がり禁止)対応がPTS側にも求められます。アップティック・ルールは原則廃止され、株価が10%以上下落した場合に適用されますので、問題がこのルール適用のトリガーがどう作動するか、注文を受ける証券会社・PTSにとって確認をする必要があります。また、HFTなどのアルゴリズムにも影響が出るはずです。

・株式を借りて売る空売りの報告は、現在の発行済み0.25%以上から0.2%に引き下げられます。但し、その公表は、0.5以上の空売り残高があった場合という2段階方式に変更されます。つまり、空売りの報告は厳格化されますが、この報告は証券会社を通して行われるので、空売り注文(株式を借りて売る売却注文)の際に証券会社サイドで、その投資家のその銘柄に対する空売り残高(他社で売っている分も含めて)を確認する必要があります。今までは、このような確認の煩雑さを避ける為、売り注文を受ける証券会社が店頭取引で相対し、自己の売りとしていたケースについては、より実態に即した厳格な報告が求められるようです。

・パブコメでは、空売り報告の公表に対して、一般の投資家が分かりやすい一覧性(現状は、個別報告書ベース)を求める意見もありましたが、これは公表を行う取引所側での集計が必要となります。今後、空売り報告を仲介する証券会社に対する報告書提出の義務化などを取引所ルールで整備した上で、一覧性のある空売り報告がなされるようです。

以上、証券会社にとっての実務負担増加などの煩雑さについて書きましたが、投資家にとっての影響について以下のようなことが考えられます。
【個人投資家にとっての影響】
・結論から言いますと、当初の影響は小さいかも知れません。アップティック・ルール原則廃止は、個人により個人の空売り(信用取引)は増やすはずですが、現在の信用取引制度では、個人投資家が空売りしたくなるような株式の調達は難しそうです。したがって、個人が空売りしやすくなりますが、当面はそれ程増えないのではないかと思われます。

【海外ファンドなどへの影響】
・原則は変わらないはずですが、当面は空売りが減少する可能性もあります。理由は、空売り報告が厳格化されるので、その準備に時間が必要なことと、アップティック・ルールの変更(原則廃止・PTS適用・トリガー制など)で、HFTのアルゴリズム変更が必要になると見られるからです。

金融危機後に始まったこのルールは、欧米市場と同じような方向で改正が進んでいますが、その背景について以下のような事ではないでしょうか。

【空売り規制強化の背景】
・株式取引の超高速化と、その取引を円滑化するために貸株市場は発達しましたが、これらの取引機能強化のメリットは、ファンドや機関投資家など大手投資家に限られているのが現状です。
・投資家によって、取引機能に差があるのは問題ありませんが、市場での投資家の多様性を維持する為、取引情報の差をできるだけ埋めていく努力が必要なのではないでしょうか。
・ファンドなどが利用する空売り情報と、個人投資家の利用可能な空売り情報の差を埋めるというのも、その一つです。


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