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2017/11
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ファイナンス評価とディスクロージャー判断
 株式市場に上場する企業が、大きな変化を起こす時、株価も大きく動くのは当たり前ですが、その大きな変化の契機の一つとしてファイナンスがあります。

 新たに資本を調達して、事業の為の投資を行い、企業価値を上げるのですから、本来のファイナンスは買い材料であるはずです。しかし、それぞれの企業には諸々の事情があり、ファイナンスを実施しても投資の効果が分かり難かったり、逆に大幅な希薄化で1株当たりの企業価値を下げる場合もあります。このファイナンスについて、株主や投資家が買い材料なのか売り材料であるかを判断するには、上場企業のディスクロージャー資料に頼る訳ですが、ファイナンス時に注目すべき点を書き出してみました。

【ファイナンスの資金使途】
○基本的には、ファイナンスで調達した資金による投資効果が、分かりやすく記載されるべきです。
●しかし、多少厄介なことはお金に色がついていないため、実質的な借入金返済や優先株式の返済に回される場合もあります。これはこれで企業の財務基盤を強化するのに役立ちますが、ファイナンスによって起こる希薄化以上に効果を上げるかが問題です。
●更に、投資する事業や設備などが企業にとって元々計画されていたもので、株価に既に織り込んでいる場合、わざわざファイナンスの資金使途とすべきかどうかといったケースもあります。
○また、M&Aの資金とした場合、具体的な未公表の買収案件を抱えてファイナンスすることは難しいので、M&Aの実行は将来的な話になります。その為、具体的な効果はファイナンス時には推測しにくいのですが、既に事業計画などが公表されていれば方向性や目標が分かるので投資家・株主が判断しやすくなります。

≪資金使途の効果を投資家が判断しやすいように誰がサポートするか≫

-公募ファイナンスの場合
・引受主幹事証券会社の引受審査の過程で、資金使途について効果を推測する為のチェックが行われます。しかし、そのチェック内容は一般の投資家には公表されませんし、公募株などの販売時にも利用される訳ではありません。よって、一般投資家には○○証券が主幹事で資金使途を審査しているはずだというレピュテーションのみに頼ることになります。

-第三者割当の場合
・引受け手が判断しますが、一般投資家は引受け手のネームなどから推測することになります。事業に絡んだ資本提携ならその効果は推測しやすいのですが、引受け手が投資会社などの場合、資金使途の効果は分かり難いものです。まして、新株予約権を割当てるようなケースが、資金調達の確立性を判断できません。

-その他、ライツ・オファリングなどの場合
・主幹事証券会社も第三者の引受け手もいないので、企業のファイナンス公表時の説明に頼るしかありません。ただし、他のファイナンスに比べ企業が大規模な資金調達を行うことで大きな変化をする可能性が高いと見られますので、資金使途の重要性は増しています。

【ファイナンス時のディスクロージャー制度】
・記者発表文=取引所の適時開示制度で、株価に影響の大きなファイナンスを取締役会決議した時、速やかに公表する制度ですが、資金使途の効果を含む記載内容は基本的に企業の責任において行われます。ただし、実務的には新株式を追加で上場する為、取引所側の事前のチェックが行われています。また、公募ファイナンスの場合、主幹事証券の記載内容に関する助言(指導)が行われます。

・有価証券届出書(目論見書)=法定開示資料なので、決定内容として資金使途までは記載することが可能ですが、その効果は計画であって事実ではないので記載できません。

※幹事証券会社が、投資家に勧誘するのは目論見書の利用のみですが、投資家が資金使途の効果をより知りたいと思った時、利用できそうなのが、適時開示で公表された記者発表文です。ただし、記者発表文は新株式などの勧誘活動には利用できません。

【アナリストの判断について】
 ファイナンスは企業にとっての一大イベントなので、カバーするアナリストとしてはファイナンス評価を行うことは当然です。例えば、機関投資家からこのファイナンスは買いか売りか問われた場合、今までの投資や事業計画からどの位企業価値が向上しそうかコメントすべきです。
 しかし、所属する証券会社がファイナンスの幹事証券の場合、勧誘活動は目論見書のみで行われる為、投資判断に影響するコメントをアナリストは停止しています。

ここまで長々と書きましたが、どの様なファイナンスであっても、その資金使途効果を判断することは重要なので、一般投資家も利用可能な開示内容の充実やファイナンス評価を、そろそろ議論すべき時ではないでしょうか。

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