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2017/11
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証券会社のSNS利用
 標題からお読みいただいた方には申し訳ありませが、結論から申して“あまり進んでいない”ということです。それでも書いたのは、世の中のSNS(ソーシャルメディア)に対する期待値が高いからです。例えば、総務省の“情報通信白書(平成25年版)”ではスマートディバイスでSNSの利用は増え、ビックデータやクラウドコンピューティング、4K・8K(次世代放送サービス)とともにスマートICTが日本の成長を加速する鍵となると唱っています。

 しかしSNSへの参加は個人が行うなら未だしも、企業や従業員として行う場合、規制業種の証券業(他の金融関連業務も同様に)は制約を受けます。例えば、
・A証券がフェースブックである金融商品の情報を流したとします。
・Bさんが“いいね”をクリックしました。
・Bさんは、A証券の従業員でした。Bさんのフェースブックの友達は、BさんがA証券の従業員と知っている人もいれば、知らない友人もいます。

 証券会社の従業員が金融商品を薦める時、その行為を規制するルール(行為規制)があります。例えば、その人のリスク負担にあった金融商品を販売することを求める“適合性の原則”、ちゃんと説明しなければならない“説明義務”、実際に契約する前と後に決められた書類を交付する義務などですが、Bさんが例えSNS上であっても特定の誰かに金融商品を勧誘する時、これらの義務を負う事になります。
しかし、“いいね”をクリックしただけでは勧誘とは言えないと思うのが一般の感覚ですが、クリックした後、誰かとSNS上で遣り取りした場合は、どこで勧誘行為としての線を引くか難しいところもあります。
対面営業の従業員はいないネット証券では、これらのことウェブ上で投資家に伝えなければならないので、実質的な行為規制は、広告規制として相当部分が取り込まれています。

 さて、現状の証券会社のSNS利用はメディアの一つとして顧客向けの情報発信に徹しているおり、従業員が自社のSNSで発言することは殆どが社内ルールで禁じています。つまり、勧誘行為にならないよう注意深く使っているということです。また、顧客サービス(例えば富裕層向け)の為に投資や金融商品と全く関係ない情報を、SNSで流すといったことも行われています。(この目的は、富裕層など特定顧客とのコミュニケーションの頻度を上げ、顧客個人のイベントに絡んでいくことです。)

 時代の進化の産物であるSNSを、証券会社の本業である金融商品の勧誘に使ってはいけないのでしょうか。IT企業の方やコンサルチング・ファームの方々は、新たなマーケティング・ツールとしてSNSを使いこなす提案を金融機関に行いますが、現実の証券会社では、今それを避けているように思います。

なお、米国の金融自主規制団体(FINRA=Financial Industry Regulatory Authority)によるSNS利用の自主規制ガイドラインは、次の様なものです。(野村総研資料より、筆者が簡略化。ベースはRegulatory Notice 10-06)
・ソーシャルメディアでの会話内容を記録・保存する。
・ソーシャルメディアで推奨する場合も、相手の負えるリスクや投資目的を確認する。
・ブログの更新は広告とみなされ、会社としての事前のチェックが必要。
・インタナクティブなコミュニケーションは、会社として監督する必要がある。

 なかなか日本で実行するは大変な様に思えますが、証券会社サイドでのSNS情報管理を容易にするクラウドコンピューティング・ツールがIT企業より提供されるでしょうし、SNS利用ニーズも高まれば証券会社の負担が少ない自主規制ルールも準備されると信じています。

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テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

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