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2017/11
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公募増資は、本当は買い!?
 今年の発行市場の特徴としては、公募増資や新株予約権付社債発行など公募のファイナンスが増加しています。公募増資だけでも本年は既に100件(内、3割弱がJ-REIT)近く実施されていて、例年は50~60件といった水準からみると件数だけでは通常の倍といったイメージです。これも市場回復やアベノミクスで景況感が変わってきた影響でしょうが、この公募ファイナンスの問題について少し触れたいと思います。(問題点を簡素化する為、以下本稿では公募増資の問題として取り上げます。)

 先ず、公募増資は買いか売りかという問題についてですが、

○公募増資を引き受ける証券会社にとっては、当然買いです。
・企業がリスクマネーを調達して、新たな事業や設備に投資を行い、収益を今以上に上げて企業価値を向上
・上記のことを確認する為、約2ヵ月程度かけて、主幹事証券会社による引受審査が行われます。
・しかし、これらの審査内容は一般的に公開されません。(他の引受証券会社には、公募増資の取締役決議を行う1~2週間に、内容の一部が伝えられる業界慣行があります。また、主幹事証券会社内であっても審査結果だけは社内に伝えられますが、チャイニーズ・ウォールで審査内容は営業部門には分かりません。)

●普通の投資家にとっては、公募増資は希薄化により一時的な売り要因と見做されがちです。
・金融庁が無作為に選んだ本年実施された公募増資15件では、発行決議から値決め日までの平均下落率は▲12.1%。
・同じく金融庁調べでは、希薄化以上に株価が売られているケースが多く、信用での空売りもこの期間急増しているとのことです。
・金融庁の見方(金融審議会資料)では、公募増資が一時的に投機的売りを呼び込んでいる可能性も指摘しています。
・なお、公募増資銘柄でこの期間中に株式を借りて空売りした投資家には、引受証券会社は新株を割当ることが出来ません。
・しかし、既に株式を保有している投資家がこの期間株式を売却し、その後、公募新株の割当てを受けることは出来ます。

正論を言えば、資本市場において企業にリスクマネーの供給を円滑に行う為には、公募増資は買いでなければならないのですが、上記のように分かり難い状況が続いています。

現在、金融審議会において公募増資の仕方を改善しようと、以下のような点が議論されています。
(この議論は、相当引受実務に近い専門的な事ですが、一般に分かり易いように以下は平易化して記載しています。証券・金融のご専門の方は、金融審議会事務局資料(1)~(3)をご参照ください)

○取締役会による発行決議日から日を置かずに新株を募集するようにしてはどうか
○取締役会による発行決議日以前に、投資家に公募内容をある程度しらせる制度として、現在の発行登録制度を使い易いものに改良できないか
○投資家の需要を広く喚起する為、企業が検討している新規投資や事業内容の変化について、勧誘行為とならないように、投資家に知らしめる方法を具体的に検討できないだろうか(プレヒアリング、プレロードーショー、アナリスト対応など含めて)

このように書いてもまだ専門的すぎるかも知れませんが、公募ファイナンスの実務的なことまで金融審議会(関連法制度改正に為の)で議論されることは、公募ファイアンス活性化の為には非常に良い事だと思います。

 しかし、公募増資において本質的な問題は、現行の主幹事証券会社やり方では、投資家需要を広く掘り起こしたり、正確な投資家需要を把握することは難しくなっているということではないでしょうか。このことは、増資インサイダー問題で何故ウォールを超えて、ファイナンス情報が漏れやすいかという事にもつながるように思います。

本当は、より広い範囲の投資家が参加する公募の在り方について、議論するべきと考えますが、具体的な施策については、また別に機会に。

公募増資が、より多くに投資家にとって買いとなる日に為に。

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