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2017/08
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新株予約権について、やさしく考える
 最近はファイナンス・スキームとしても定着してきたライツ・オファリングも、買収防衛策でのポイズンピルも、ストックオプションも、企業が発行する新株予約権を使いますが、様々な使われ方をするこの新株予約権について、少しやさしく、でも本質的なことを考えてみます。

この制度は、平成13年の商法改正により創設され、現在の会社法に受け継がれていますが、最大のポイントは企業が発行する株式を引き受ける権利だけを発行でき、しかもそれが有償の価値があることです。例えば、1000円で新株を引き受ける権利を、10円で発行することが出来るのですが、この新株予約権を企業が発行する際、次のような事が、重要なポイントになります。

【誰に渡すのか】(誰に対して発行するのか)
基本的には、新株予約権の発行目的ということになりますが、次の対象者が考えられます。
・株主全員(ライツ・オファリングや買収防衛策)
・特定の第三者(業務提携や資本提携相手)
・役社員や特定の取引先(報酬の一部として)

【新株を発行する条件を、どうするか】
公募ファイナンスや特定の誰かに新株を発行する場合、あまり有利な条件だと既存株主の権利に悪影響を及ぼすというとこで、有利発行として差し止め請求することが出来ます。例えば、1000円の時価の時、新株を誰かに100円で発行しようとすると有利発行として差し止められる場合がありますが、新株予約権も同様に有利発行の対象となります。問題は、その新株予約権が既存株主の権利を著しく毀損するような発行条件かということですが、以下の項目が発行条件として主なものです。
① 行使価額(新株を発行する価額)
② 新株予約権の発行価額
③ 新株予約権の行使期間
④ 新株予約権の行使の条件

 上記の中で、①と②はある種の相関関係があります。例えば、1000円の時価の企業の新株予約権を行使価額100円として、新株予約権そのものを900円で発行する場合と、900円の行使価額のものを100円で発行する場合、近しい発行条件に見えます。(※厳密には、新株予約権の価値が異なりますが。)
また、時々その使われ方が問題になるMSワラントは、①の行使価格を定期的に時価の9割などに見直すものです。

③は、1日から10年程度まで可能ですが、新株予約権発行の目的によって異なります。例えば、ファイナンス目的のライツ・オファリングでは、20~40日程度ですが、ストックオプションでは10年近いものもあります。

最後に④の行使の条件ですが、敵対的買収者以外の株主が行使できるのがポイズンピルとして代表的な使われ方ですし、業務提携相手など発行する場合、業務提携関係の継続する期間中の行使に制限することもあります。また、様々な条件を付けることも可能で、新株予約権を発行する企業と付与される対象者の間の契約的なものとして取り扱うこともあります。

 さて、最大の問題は、株主以外に発行する新株予約権の価値がいくらかということですが、①~④までを幾つかのオプション算定モデルで算定するケースが殆どです。新株予約権≒オプションということですが、①から③まではまだしも、多様なあり方となる④は、一般の株主や投資家には非常に分かりにくいものです。その為、発行会社としては、新株予約権発行の目的と、発行条件を設定した考え方を、株主や投資家に丁寧に説明していく必要があります。

【新株予約権に関するその他の問題】
・新株予約権付社債
嘗ての転換社債は、今は新株予約権付社債と呼ばれていますが、名前の通り有償の価値がある新株予約権が付いた社債ということになりますと、社債そのものは割引発行されていると見なされます。例えば、額面100円の新株予約権付社債を100円で発行し、新株予約権部分の価値が10円だとすると、社債そのものは90円で発行したと見なされます。新株予約権部分の10円は資本、社債の90円は負債に分けて計上すべきとの会計上の考え方ですが、IFRSなどの影響でこのような考え方の企業が増え、結果として新株予約権の発行コストは会計上上昇することとなりました。(旧来の転換社債のように、一つの新株予約権付社債として行使が起きるまで一体的に見なすことも会計上可能です。企業側の会計処理上の選択によります。)

・金庫株の利用
名前は新株予約権ですが、投資家や株主から行使を求められた場合、自己株取得していた金庫株を渡すことも可能です。少し進んだ使われ方としては、将来の自己株取得資金を調達目的で、新株予約権付社債を発行することがあります。リキャップ(リ・キャピタル)CBと呼ばれる資本政策ですが、将来の金庫株利用を前提とした、自己株式取得資金の調達を投資家から行う仕組みです。

【新株予約権の価値算定に関する一つの考え方】
 数学者や実務担当者が構築した幾つかのオプション算定モデルを複数利用するというのが一般的な考え方ですが、モデル自体の理解と前提条件などの置き方など、一般の投資家には把握しにくいのも現在の事実です。上記、発行条件などを普通の常識に沿って判断することも、一つの方法だと考えます。

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