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IPO初値について
 上場初値の好調さが伝えられ、新規公開企業数も増えIPOは活況さが続いています。アベノミクス相場の影響があるにしても、IPO復調は日本の資本市場にとっても何よりなことですが、IPOの初値については次のような議論があります。

 ◇IPOの初値が高いというのは、公開価格と上場日の始値の乖離が大きいことを指しますが、この乖離が大きいことは良いことなのか

 昨年2013年に上場された54銘柄の平均乖離率は、121%。つまり上場新株の割当てを受けた投資家は、いきなり倍以上のなるケースが多かった訳ですので、この投資家にとっては勿論良いことです。
 しかし、株式を売り出した企業の株主や新株を発行した新規上場企業にとっては、そもそも公開価格が適切だったのかという疑問が残る場合もあります。公開価格が果たして適切なものだったのかどうか。

 昨年の事例ですと、公開価格と初値の乖離が-4%(ウィルグループ、12月19日上場)から410%(SNAP、11月19日上場)まで銘柄事に相当の開きがありますが、市場からの大型の調達を実施した銘柄は以下の様に、乖離率が低い傾向となっていました。
・サントリー食品 1%(上場時調達金額231億円7月3日上場)
・足利ホールディングス 7%(上場時調達金額2,883億円12月19日上場)
・オープンハウス 18%(上場時調達金額2,883億円9月20日上場)
など
 これは、IPO時に参加する証券会社が多く、結果としてより多くの投資家が参加したためだと思われます。より多くの投資家が、公開価格を決定するブックビルディングに参加することで、適正価格に近いところで値段が決定されたと見ることが出来ます。

 この公開価格を決定する仕組みは、概ね次のプロセスに依ります。
◇主幹事証券会社が、【想定公開価格】(ある程度の値段の幅があり)に対する考え方や材料などをもってIPO株投資を行う機関投資家の需要のヒアリング(プレマーケッティングと称します)を行います。
◇上記のヒアリングに基づいて【仮条件】(ある程度の値段の幅があり)を主幹事証券が決定し、一般の投資家の需要を確認します。仮条件の幅のある価格毎に、投資家需要を積み上げ最終的な【公開価格】決定していきますが、この過程をブックビルディングと言います。

 ベースになるのは、主幹事証券会社が最初に示す【想定公開価格】ですが、その価格決定については日本証券協会より指針が示されています。ただし適正価格に近付けるのは、主幹事証券のノウハウが大きく影響します。また、仮条件を提示した段階で、いくらその後の一般的な投資家の需要が多くても、仮条件枠を超えて公開価格は設定できないのが日本のIPOの仕組みなので、最初に示す【想定公開価格】は重要です。
以上を纏めますと次のよう公開価格の決定プロセスとなっています。

☆新規公開株式の値付けプロセス
(再掲載、筆者作成)

 なお、理想的にはIPO後の企業の成長に合わせ、株価も上昇し、投資家は企業価値の向上も認識しながら、企業側がリスクマネー調達の場として利用しやすい持続的な推移ですが、IPO銘柄の多くは当初の1、2ヵ月取引が盛り上がって、その後取引が低迷するにしたがって株価も下落するパターンが多いことも指摘されています。

 したがってイベントのようなIPO時の盛り上がりをもたらす公開価格の在り方について、問題視する声も多く、次の様なレポートが、日本証券経済研究所(証研レポート2013年12月号)から示されてもいます。

☆新規公開株の価格形成
(関西学院大学 岡村教授)

成長戦略で好調な株式市場の時期にこそ、より多くの投資家が参加することが可能なIPOの仕組みやIPO価格決定の在り方を見直す時期ではないでしょうか。

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