*All archives* |  *Admin*

2017/06
<<  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  >>
相場操縦の伏流~2つの相場操縦事件について
 相場操縦は、時々経済マスコミの話題にもなりますが、インサイダー取引とは違って少し解釈が難しいところがあります。前回不公正取引で取り上げました行為などは、勿論対象となる訳ですが、例えば大きく下落すると分かっても大量に損切りしなければいけない場合は違うでしょうし、他の金融取引との間で行う裁定取引も微妙なケースがあると言われています。裁定取引そのものは、本来取引に流動性を与えるもので、歓迎すべき行為と見なされるのが一般的です。しかし、米国SECの摘発事例では、ヘッジファンドがA企業の株価を下落させる目的で、A企業の信用デリバティブ(CDS)を大量に売り、A企業があたかも信用不安があるが如く装った行為が問題視されました。

 一応、日本の司法判断や学識者の間では、他者の取引を誘因する目的をもって行う行為とされていますが、最近の証券取引等監視委員会(SESC)による相場操縦行為の摘発事例では、次のような海外投資家の行為が摘発(2月18日)さています。

・世界各国でデイ・トレーディング・ビジネスを展開するプロップ・ファームであるセレクト・バンテイジが、酉島製作所及びホシザキ電機各株式につき、その売買を誘引する目的をもって、売り最良気配値より上値の複数の価格帯に約定させる意思のない売り注文を発注したり、買い最良気配値より下値の複数の価格帯に約定させる意思のない買い注文を発注するなどの方法により、売買が繁盛であると誤解させ、かつ、変動ようとした行為(2012年4月12日から同月24日までの間、72の取引サイクル)

 この事件は、課徴金そのものが実際の取引にかかる為(大量に出した売買注文ではなく)6万円と過少ですが、マスコミ報道では、100銘柄近くに対して同社の相場操縦行為の可能性があり、同社からの委託注文を証券会社が受け難くする目的で摘発を急いだとされています。

 一方、大規模な相場操縦事件としては欧米主要金融機関によるLIBOR不正操作事件がありますが、2012年6月に米英の金融当局よりバークレイズが国際的な基準金利であるLIBORを恣意的に動かした行為が相場操縦行為として問題視され、その後、他の国際的な金融機関も多数関与していることが明らかになった事件です。一時は金融スキャンダル的にマスコミにも取り上げられ、不正操作に関与した各行に課せられた課徴金などの総額も1兆4000億円と言われ桁外れのものでした。

 しかし、この問題を日本の金融関係者が聞いた時、相場操縦行為というのに少し違和感を持たれた方も多かったのではないかと思われます。勿論、不正操作はいけないのですが、LIBORの決め方も銀行間で情報をやり取りして決める行為なので、銀行間でのカルテル的行為と情報交換のどこに線をひくのか分かり難いのではと感じました。ただし、この摘発は2003年に定められたEUの市場濫用指令により、規定される相場操縦行為に沿ったものでしたが、その規定内容は次の3つです。(訳は、日本証券経済研究所によります。)

●金融商品の供給、需要若しくは価格に関する虚偽若しくは誤解を招くシグナルを与える若しくは与える可能性があるもの、又は単独若しくは共謀して行動する者たちによる、1つ以上の金融商品の価格を異常若しくは人為的な水準にもたらすもの
(※行動が正当であること、かつ当該規制市場の容認された市場慣行に従っていることが立証される場合を除く)
●仮想的な技巧、又は他の形態の偽計若しくは計略を用いた取引又は取引注文
●金融商品に関する虚偽又は誤解を招くシグナルを与え又は与える可能性のある情報の流布

 リーマンショック以降、大規模な金融取引に対する金融当局の監視が厳格化しているのも時代の流れでしょうが、一方取引手段の高度化により、相場操縦行為の議論も変わっていくのではと思われます。ただ、個人投資家も参加する株式市場においては、個人も分かり易い議論の進展が望まれます。


スポンサーサイト

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

Secret
(非公開コメント受付中)

最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

ポーラスター

Author:ポーラスター
2009年1月スタート

最新トラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
参考文献
QRコード
QRコード