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2017/10
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市場が好調な時こそ、ファイナンスの在り方を考える
 流動性を確保する(売買を行い易い)というのと、リスクマネーを供給する(ファイナンス)ことは市場の最も重要な機能ですが、ファイナンスの方はごく稀にしか行われないので、どうしても限られた関係者での議論に偏りがちです。

 しかし、実際にファイナンスが実行されれば、市場での流通株数は増加し、一株当たりの財務的な価値が低下する希薄化(ダイリューション)が起きるので、既存株主には直接的な影響が大きくなります。一方、ファイナンスによって調達される資金が新たな事業などに投資されて企業価値の向上が期待されますので、一般の投資家の新たな投資ニーズを掘り起こす可能性もあります。つまり、目先の需給関係悪化と将来的な需要増加が、株主・投資家に同時に認識されることとなりますが、当然良いファイナンスとは将来的な企業価値向上と投資ニーズ増加がイメージしやすいこととなります。

 公募のファイナンスでは、証券会社が引受けますので、調達した資金が企業価値向上に役立つことを確認する引受審査が行われた上で、自社顧客に販売されることとなります。

 昨年(2013年)は、この公募ファイナンスのうち公募増資件数が通年に比べ非常に多く、東証の統計資料”上場会社資金調達額“によると、114社1兆1,137億円の調達金額となっています。なお、公募増資が年間100件を超えたのは、バブル直後の1990年(121件)以来となっています。

 一方、特定の誰かに株式を割当てるのが第三者割当増資ですが、一般的には事業提携先・資本提携先に割当てられる場合が多く、その様なケースでは長期保有のイメージから、市場では提携先との事業効果を期待して買い進まれる場合もあります。但し、再生途中の企業などが新株予約権と合わせて投資会社に割当てる場合もあり、この場合は一般投資家の評価が難しいような状況もありますが、例えば増資に絡んで大株主との貸株契約が割当先の投資会社にある場合、株式や新株予約権があたかも割当先の株式返済に使われるような懸念が株主や投資家から持たれるケースです。

 また、直接の調達ではありませんが、新株予約権を割当てて、定期的に時価の10%程度したに行使価格を修正する所謂MSワラントは、割当て先の市場での裁定取引を前提としたリスクマネーの調達方法です。この場合、ワラントを行使するのはMSワラントの割当先ですが、この割当て先は市場で売却した株式の手当てで行使するので、
実質的にはこの期間の市場での買い手が払い込んでいることになります。

 最近大規模な調達方法(発行済み株式総数に比べ、新株発行の割合が大きいという意味)として増えてきたライツ・オファリングでは、単純なファイナンスとしての利用から株主構成の変化を狙ったものや企業再生を目的としたものなど様々な目的の発行事例が出てきましたが、引受行為のないノンコミットメント型では株主や投資家自らが調達資金の企業価値向上効果を想定しなければなりません。

 個人も含めて多様な投資家が存在する市場でのファイナンスは、投資家や株主にとってファイナンス・スキームが分かり易いこと(希薄化がイメージしやすいこと)とともに、調達した資金で企業価値が向上するイメージが持ちやすいことが重要で、公募ファイナンス・第三者割当等を含めて、一般の個人が理解できるファイナンス評価が必要になっているのではないでしょうか。
(※アナリストは、ファイナンス期間中は企業評価しにくいのが今の市場の仕組みです。)

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