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2017/10
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HFTは何かメリットで何か課題なのか
 HFT(高頻度取引)に関する議論が再び盛んになりつつあります(嘗ては、2010年5月の米国での株式市場急落の主犯説)。フラッシュ・クラッシュ4月に欧州議会ではHFT規制案が承認され、米国でも規制を前提にした金融当局などによるHFTの調査が実施されています。また、HFTを扱った小説“フラッシュ・ボーイス”も話題になっており、全体としては反HFTムードが高まっているようにも思えますがが、日経も4月9日付けの社説“超高速株取引を直視し市場の質高めよ”で取り上げています。

日本でもHFTの市場における存在感が増しており、取引金額ベースでは全体の4割(3月は46%)に達したようです。

ここで専門的なこと(システムやアルゴリズム内容)は別にして、HFTのメリットと課題について簡単に触れておきたいと思います。

先ずメリットは、以下の様なものだと市場関係者間では認識されています。
① 取引の流動性を高める(全ての市場参加者にメリット)
② 大量に売買する場合の取引コストを低減することが出来る(主に機関投資家などにメリット)
③ 他の取引との裁定取引を迅速に執行することが可能になり、双方の取引を増加させる(プロップ・ハウスなどの裁定取引業者にメリット)
④ 裁定取引を効率的に行うことが出来る(証券会社の自己売買部門やプロップ・ハウスなど)

 勿論、上記は全て①に帰すると考えられています。

一方、反HFTに対する意見の背景にはミリ秒(最近は、マイクロ秒)のスピード対する反感があると思われます。
HFTを利用できるのは、一部の機関投資家や金融機関、それにHFT専業者など限られており、個人を含めその他多くの投資家にとってミリ秒のスピードは利用できないので、不公平(不公正ではない)ではないかといったものです。このHFTを利用するためには幾つかの前提がありますが、主なものは以下です。
・取引所が提供するコロケーション・サービスを利用する。(取引所の取引システムに物理的に近いサーバーから売買の指示を出すので、他の取引指示より早い)
・コロケーション・サービス内で、売買の指示を出すアルゴリズムを仕組む。(このアルゴリズムは、注文板などの情報を読んで、自動的に売買発注や取消し指示を取引所システムに直接出す)

また、個人トレーダーなどがHFTに対して疑念を持つのは次のような事が代表的なものです。

◇HFTの行われているような主力株の取引で、個人トレーダーが注文板を見て発注するが、その注文がすぐ取り消されることが多く、結果として高く買たり、安く売らされる。

上記の様な個人トレーダーの懸念が現実に起きる為には、簡略化すると以下の様なことが前提となります。
【個人投資家が、希望する売買の反対側に注文があることを確認して注文発注した場合】
A:個人投資家の売買注文が注文板に乗る。
B:売買の反対側の注文に合わせて売買執行される。
◇HFTでは、Aの注文を確認した後で、AとBの時間差の間に該当する反対の注文が取り消されたり個人のAの注文に先んじて売買執行することが可能であれば、個人トレーダーの懸念が現実となる可能もありますが、この時間差利用が取引所で生じるものか、個人トレーダーの注文を取り次ぐ証券会社で生じているかが問題のように思われます。

 これらは課題の一つですが、スピードが問題なのではなく、むしろ情報の流れを管理する取引所や証券会社サイドのHFT対策ではないかというのが筆者の感想です。また、海外の金融当局などのHFT規制案の中心になっているのは、実際に売買指示を出すアルゴリズムの内容を証券会社などがチェック強化し、不公正(不公平ではなく)な取引指示を出していないこと義務化するものです。

 ICTの進化で取引手法が変わっていくこと時代の流れですが、出来るだけ多くの投資家が直接・間接にメリットを享受できるよう、多様な投資家に理解できる分かり易いHFT議論が待たれます。



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ジャンル : ビジネス

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(非公開コメント受付中)

No title
「HFTの行われているような主力株の取引で、個人トレーダーが注文板を見て発注するが、その注文がすぐ取り消されることが多く、結果として高く買たり、安く売らされる。」という状況だとHFT利用者による相場操縦の見せ玉が可能なんでそれが容認されている状況が公正と言えるかどうか
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