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MSワラントと特殊なファイナンスについて
 上場企業のファイナンスには、広く投資家を求める公募、特定の者に割り当てる第三者割当、ライツ・オファリングのように取りあえず株主に増資に応じる権利を与える株主割当てと主に3つの手段があります。
 いずれの方法であっても、ファイナンスの対象とする投資家のみならず、上場企業である以上は既存株主や一般の投資家にファイナンスの内容・目的について分かり易く伝える必要があります。
 ファイナンス企業に対して、その手伝いをするのが、公募の場合は引受証券会社、第三者割当などではフィナンシャル・アドバイザーなどでしょうが、標記のファイナンス方法に関しては、少し難しい面があるので取り上げました。

 MSワラントとは、新株予約権を証券会社などの第三者に割当てするのですが、問題はこの新株予約権の行使条件です。当初の行使価格はあまり問題ではなく、発行後、時価の9割近くまで行使価格を低下させることが条件になりますが、この様に行使価格が変動するのでMoving Strike即ちMSワラント(※ワラントとは現在の新株予約権制度が出来る前の同様の権利に対する通称です)と称しています。

 このMSワラントを割当てられた証券会社などが、先ず株式を借りて市場で売却します。その為、市場価格は下落しますが、MSワラントの行使価格も同時にその時価の9割掛けに低下します。MSワラントの保有者は、市場で株式を売却して、MSワラント権利行使で市場価格よりも安く新株を入手し、借りた株式を返済します。結果としては、MSワラントを割当てられたものの市場での裁定取引行為が前提となる手法ですが、これは市場での一般の投資家の買いがなければ成立しません。
 つまり、MSワラントは表面的には第三者割当の形をとりながら、実態は一般の投資家の買いを前提とした公募ファイナンスに近いファンナンス手法とも言えます。

 従って一般の投資家に理解しやすいスキームの説明や増資目的のディスクロージャーが必須ですが、MSワラントの引受証券会社やアドバイザーに求められるのは、可能な限り丁寧な説明を株主や投資家に対して行うこと発行会社に助言することです。

 なお、MSCB(行使価格が下方修正される新株予約権付社債)は企業の資金調達ですがMSワラントは直接の資金調達ではなく割当者の裁定取引を介した間接的資金調達ということりなります。また、MSCBやMSワラントを証券会社が引き受ける場合の自主規制ルールはありますが、他の第三者に割当てられた場合、市場規律上の問題をどう遵守するかは企業そのものの責任になります。

また、MSワラントではありませんが、時価より低い行使価格に設定した新株予約権と主要株主(会社の経営者である場合が多い)からの貸株契約をセットにした新株予約権の第三者割当てが行われる場合がありますが、これは疑似MSワラントとも言えます。

 筆者は、これらのファイナンス手法に関して否定するものではありませんが、スキームや目的の分かり易い説明を公表する義務が発行会社にはあると考えます。特に、新株予約権の割当てが正当かどうか一般の投資家が判断する材料の一つとして新株予約権の価格算定書がありますが、結果だけ述べたものや学術的説明ではなく、普通の投資家が理解可能な算定根拠の記載があるべきと考えます。


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第6章 第三者割当ビジネスの隆盛と衰退 第1節 MSCBとはMoving Strike Convertible Bondの略で、日本では2000年頃にはすでに発行されていました。株価2桁(100円未満)の企業がMSCBを発行し、すでに投資の了解をもらっている特定の投資家(海外ファンド)に割当をして資金調達をしていたのです。北の家族、シントム、昭和ゴム、イタリヤードなどいくつもの企業が発行しま...
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