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2017/05
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今後、日本の資本市場はどう変わるのか
昨年5月より、金融審議会において日本市場や取引所などの在り方が議論されていました。これは、投資を通じた国民の安定的な資産形成の重要性が高まっていることや、ICTなど情報技術が進展していることで市場を取り巻く環境が大きく変わっていることなどを踏まえたものです。その報告書は、昨年12月22日に公表されており、議論テーマの各内容に合わせて今後関係法令などが整備されると予想されます。
以下に、同報告書の内容を簡略化したイメージ図にしてみました。

☆今後、日本の資本市場はどう変わるのか
・顧客本位の業務内容---証券会社も銀行も原則の策定と公表へ
・資産形成におけるETF活用---個人の積立投資向け低コスト商品開発と取扱いチャネル拡大は?
・取引の高速化への対応---HFTは、登録制導入へ
・市場間競争と取引所外の取引---PTSの承認取引拡大へ
・取引所グループの業務範囲---グループ内システム会社集約とフィンテック対応

個人への投信販売規制の流れ~フィデューシャリー・デューティ-にどう対応するか
個人の投資による資産形成で最も期待されている金融商品は投資信託です。
その販売チャネルの拡大として金融機関での取扱いが解禁(1998年12月)され、広く個人が利用していく為に投信の販売に関係するルールも強化されてきました。
一方、今年度の金融審議会での検討テーマの一つとして“国民の安定的な資産形成とフィデューシャリー・デューティ-”が上げられていましたが、国民の安定的な資産形成のためにフィデューシャリー・デューティ-の範囲拡大と内容の明確化が議論されました。その投信販売規制とフィデューシャリー・デューティ-議論の動向について以下に見直してみました。

☆個人への投信販売規制の流れ~フィデューシャリー・デューティ-にどう対応する
・個人への投信販売規制強化の流れ
・投信販売とフィデューシャリー・デューティ-(その課題とは)
・顧客本位の業務運営とは何か
・投信販売はどう変わるべきなのか

HFT規制の動向について
アルゴリズムを用いた高速のプログラム取引のことをHFT(High frequency trading)といいますが、2010年に高速化対応の取引システムであるアローヘッドが東京証券取引所に導入され、更にコロケーション・サービスも投資家に提供されたことで、日本においてもHFTの存在感が増しています。
最近の取引状況では、東証の全取引に占めるHFTのシェアは約定件数ベースで4~5割、注文ベースで7割に達していると言われています(金融審議会における事務局資料より)。但し、HFTを利用しない投資家にとっては、流動性向上のメリットの一方で、市場の想定外のイベントが発生した場合の価格変動の増大リスクや、取引の公正性確保への不安・不満などがあります。

 また、HFTを利用した相場操縦行為として、以下の事例が証券取引等監視委員会によって処分勧告されています。
・相手方のアルゴリズム取引の特性(指値変更注文に瞬時に反応)を利用することを意図した相場操縦。
・見せ玉を発注、第三者に取引が繁盛に行われていると誤解させてアルゴリズム取引による注文を誘引、その後全ての見せ玉を取り消し。
・最良売り(買い)気配に小口注文を発注後、反対の最良買い(売り)気配値に大口注文を発注、それに誘引されたアルゴリズム取引注文と小口注文を約定させた。
・売買を誘引する目的で大量の買い注文を連続発注、相場を変動させる一連の売買および委託。
・大引前約30秒間に、証券会社を介してDMAやアルゴリズムを用いて大量の買い注文を連続発注。 等

 昨年5月から行われている金融審議会の市場ワーキング・グループにおいても、HFTに対する欧米の金融当局による規制の動きを踏まえ、“取引の高速化”に関する新たな規制の一環として、アルゴリズム高速取引を行う投資家に対するルール整備が検討されていました。
HFTに対する規制案の概要は次の様なものです。(金融審議会市場ワーキング・グループ報告-平成28年12月22日より、制度の概要を抜粋)

☆HFT規制案について

【登録制の導入】
アルゴリズム高速取引を行う投資家に対する登録制を導入し、必要な体制整備・リスク管理義務を課す。
【規制の枠組み】
◇体制整備・リスク管理に係る措置 として、 取引システムの適正な管理・運営や 適切な業務運営体制及び財産的基礎の確保が求められる。また、事業報告書の提出も必要。
◇通知・情報提供に係る措置として、アルゴリズム取引を行うことの当局への通知 、 各注文がアルゴリズム取引によるものであることの明示、 アルゴリズム取引戦略の届出 、 取引記録の作成・保存が求められる。
【実効性の確保】
売買注文を受ける証券会社に対して、無登録でアルゴリズム 高速取引を行う投資家や、アルゴリズム高速取引を行うための体制整備・リスク管理 を適正に講じていることが確認できない投資家からの取引の受託を禁じる。海外の投資家に対しては国内における代表者又は代理人の設置を求める。
(証券会社については、既に一定のシステムリスク管理体制の整備や取引記録の保存等が求められている。)
なお、証券会社による取引確認だけではなく、取引所によるアルゴリズム取引を用いる投資家の調査も可能とする。

 上記の報告書をベースにHFTに対する法制度整備は行われていくものと予想しますが、取引所としては取引高速化に対応していくことがグローバルな市場間競争では必要条件となることに変わりありません。今後、欧米の規制動向を踏まえながら、HFT取引監視に対するノウハウを証券会社や取引所が蓄積していくことに期待します。

個人の金融資産の概況について
 作年9月末の個人金融資産の概況が、日銀から12月19日に公表されました。集計は9月末時点ですが、その他、個人の投資に関する統計資料(11月末)と合わせ、個人の投資の状況は以下の通りです。

☆個人の金融資産の概況について

 個人の金融資産全体は、昨年6月末よりは株式市場の持ち直しもあって1,752兆円(6月末比6兆円増加)と幾分回復しています。この部分には、昨年11月からのトランプ相場の影響は反映されていませんので、3月公表分では過去最高だった2015年12月末の1,783兆円に迫る可能性もあります。
投資信託への資金流入は細っているようですが、前年比で見ても市場価格の下落に負けて3.3%の資産額を3.3%減少させています。また、トランプ相場での上昇局面においては株式と共に個人投資家の利食い売りも伝えられています。

 一方、個人の海外証券投資については、投信を通したものは米国株式への投資増加が目立っています。特に直接の外国株式投資において、11月の状況は取引が急増しています。外国債券においても高水準の買い越しが継続しています(11月6,676億円買い越し)。
また、FX取引は久々に月間取引額(店頭FX取引ベース)が500兆円を超え、11月は530兆円となっていますが、これは米大統領選前後のポジション調整が大きかったようで、円の売り越し額は11月末768億円と極端に縮小しています。

日本銀行によるETF買入れについて~市場への影響と課題、そして出口は?
トランプ相場以前の日本市場は、100円を一時的に割る様な円高の進行にも関わらず、8月以降は意外に底堅く16,000円台を維持していましたが、これは原油相場の底打ちするとともに、作年7月下旬に公表された日銀による日本株ETFの買入枠をほぼ倍増の年間6兆円としたリスク資産買入拡大策が大きく影響しています。この金融緩和強化策の中で、ETF買入れに焦点を当ててその影響や課題などを取り上げます。

☆日本銀行によるETF買入れについて~市場への影響と課題、そして出口は?
・リスク資産買入の沿革と現状
・ETF買入れの実態とその効果
・市場関係者が指摘する懸念
・敢えて考えるEXITについて

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