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2017/10
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顧客本位の業務運営に関する原則と個人投資家
昨年4月以降、金融審議会では「国民の安定的な資産形成に向けた取組みと市場・取引所を巡る制度整備について」の検討項目の一つとして、顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー、FD規制)が議論されていました。昨年12月に報告書が纏められ、パブリックコメントを経て本年3月30日に「顧客本位の業務運営に関する原則」として確定されています。また、本年6月末から当面四半期ごとに、各金融事業者(証券会社や地域金融機関も含まれる)の同原則策定と取組方針が公表されます。

☆顧客本位の業務運営に関する原則と個人投資家~フィデューシャリー・デュ―ティ―規制の影響
・FD規制導入の背景
・FD規制議論における指摘事項
・金融商品販売者としてのFD規制
・FD規制により今後起きる変化の可能性について

投資に関するブロックチェーン動向について
ブロックチェーン(分散型台帳技術=Distributed Ledger Technology:以下、DLT)に関する動きが拡がっています。金融・投資分野においても大手金融機関のみならず、最近は地域金融機関における取組みも始まっています。
DLTの利用は、ビットコインなどの仮想通貨においては新たな決済手段としての利用も進んでおり、地方公共団体が発行する地域通貨や企業が発行するポイントの流通などの実証実験を、地域金融機関が地元フィンテックベンチャー企業と取り組む動きも目立っています。また、金融商品取引においては、取引の迅速化を図る為に取引者間の決済通貨として利用することも考えられています。

 一方、海外市場におけるDLTの利用に関しては、米ナスダックとシティグループの提携が5月に公表されていますが、これはナスダックが持つ未公開企業の株式売買などに使われてきたブロックチェーンのネットワークと、シティの法人決済システムの「シティコネクト」を連携させることを試みるもので、関係者によるとその目的についてはブロックチェーン技術と金融システムの効果的な統合は業務の透明化と簡易化を実現できるとしています。

 経済産業省(商務情報政策局)の「ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに 関する国内外動向調査」(平成28年4月)によると、DLTは仮想通貨であるビットコインを実現させる為に生まれた技術で、いくつかの暗号技術がベースとなっており、 P2Pネットワークを利⽤してブロックチェーンデータを共有し、中央管理者を必要と せずにシステムを維持することを実現しているとしています。
このDLTの特徴は以下の様に纏められています。
・スクリプト(機械語への変換作業を. 省略して簡単に実行できるようにした簡易プログラム)によりアプリケーションを実⾏可能
・真正性の保証された取引が可能 (⼆重⽀払の防⽌)
・データのトレーサビリティが可能で、 透明性の⾼い取引が可能(改ざんが困難)
・サーバコスト(構築/運⽤)の低廉化
・安定したシステムの構築・運⽤が可能 (ゼロ・ダウンシステム)
・中央管理者が不在でも、悪意を持つユーザが いてもエコシステムが安定維持される

一方、課題としては以下の事項が指摘されています。
・データ処理の確定に数秒〜10分程度かかるので、即時性が必要なアプリケーションには不向き
・規定されているブロックに格納できるデータ量の上限と、1秒間に処理できる トランザクション件数が既存決済システムと⽐べて劣っている
・実ビジネスでの運⽤⼿法等が確⽴されていない

 上記を簡単に纏めますと、システム負担やコストが低く抑えながら取引することが出来るが、現時点でのプロックにいれることが出来る情報量が限られていることと、情報処理スピードが遅いということ、実際の市場取引に利用した場合のルールが定まっていないということです。
現時点において投資分野での利用が想定されるのは、米ナスダックの様な未公開株取引や社債取引などで利用される可能性があります。

 日本取引所グループにおいても証券取引を想定した実証実験が昨年から始まっていますが、実際の証券取引を行った場合の課題として、仮想通貨として単純な商品性のビットコインとは異なり、配当や増資などコーポレートアクションがあること、取引するものが限らていること、取引内容は非公開を前提とする為に中立的な第三者による証明が必要なこと、などが上げられています。
今後、日本での未公開株取引での利用を考えるのであれば、証券会社による株主コミュニティ制度での利用検討が業界内にあっても良いように思われます。


リテール証券2016年度決算の動向~別れる戦略
2016年度のリテール証券各社の業績は投信関連の手数料の収益全体における比率が減少している。
 これは多くのリテール証券が近年取り組んできている資産管理型営業(ラップ口座取組み強化)の結果とも見做されるが、その他の収益(金融収益、トレーディング収益、ラップ口座などのアドバイザリー・フィーを含む)比率が高かったのは、外債や外国株・仕組債などの個人への取次ぎ増加に係るトレーディング収益の影響も大きかったようだ。
なお、ラップ口座は、昨年末で約54万口座まで増加し、6.4兆円を運用するようになっており、この運用残高に対して例えば4%のリテール証券会社収益が期待できれば、投信販売や残高報酬の金額に相当するような収益が期待できる。ラップ口座ビジネスは、大きく分けるとラップ口座の販売、ラップ口座の運用に関する助言(投資助言)、ラップ口座の運用(投資運用)となるが、これを自社内(自社グループ内を含む)で行うが、投資助言や投資運用の専業者と行うか、もしくはその一部をAI(人工知能)に任せるかでリテール証券各社の戦略の違いが出そうだ。

☆リテール証券2016年度決算の動向~別れる戦略
・2016年度決算の特徴
・リテール営業を取り巻く環境
・リテール証券の動向と変化
・リテール証券は何処へ向かうのか

個人投資家にとっての社債~開示、格付け、劣後、私募など
個人投資家にとって元本が発行者によって保証されていて、定額の利金が支払われる債券は比較的安全性の高い投資商品として見做されています。
しかし、2016年末の個人金融資産1,800兆円のうち債券投資(日銀資金循環統計では債務投資)は僅か25兆円(1.4%)に過ぎません。更に社債(事業債)の残高は、6.9兆円に留まります。
今後、NISAや個人型DCの拡大によって、個人投資家の裾野が広がる中、投資商品としての期待される社債ではありますが、一方マイナス金利や国の財政政策による国債発行減少の影響も大きいと見られます。

☆個人投資家にとっての社債~開示、格付け、劣後、私募など
・個人の債券投資について
・最近の個人向け社債の動向について
・個人投資家にとっての私募社債
・安全性、投資収益、プラスαそれぞれの投資ニーズに応える為に

証券会社の情報開示について
証券会社の情報開示が強化されます。
これは、金商法第46条の4で定められる“業務及び財産の状況に関する説明資料”を日本証券業協会若しくは自社のWeb上で公開することを義務付けるもので、業界の自主規制ルールとして6月1日から施行が予定され、2018年3月期決算の説明資料から公表が適用されます。

 この規則改正の目的は、証券会社等の業務及び財産の状況の透明性を高め、顧客の投資判断の一助とするとされていますが、昨年後半に協会において検討された“私募債等の商品審査及び販売態勢等のあり方に関するワーキング・グループ”において、金融庁の意向(ワーキングスタート時の、金融庁監督局証券課長の発言)を受け私募債事故の再発防止策の一環として、顧客が証券会社の財務状況等を容易に確認できるようにするために取り組む施策として実施されます。
但し、この説明資料(所謂、証券会社のディスクロジャー誌)は、金商法上では“全ての営業所若しくは事務所に備え置いて公衆の縦覧に供し、又はインターネットの利用その他の方法により公表しなければならない”とされていたものです。また、同ワーキングの中で取り上げられたことに関して、協会は以下の様に整理しています。
=証券会社の財務状況によって、弁済を受けられる可能性に差が生じ得るからであり、今般の私募債関連事案においても、顧客間で弁済を受けられるか否かに差が生じていることは事実である。投資家より寄せられた苦情の中には、証券会社の財務状況や株主構成を、ディスクロージャー誌等を通じて知ることができていたらもっと注意することができた、という顧客側の意見があったと伺っている。そのため、ディスクロージャー誌を自社ウェブサイトに掲載することが再発防止策の1つとして考えられるのではないか。( 私募債等の商品審査及び販売態勢等のあり方に関するワーキング・グループ(第4回) 議事概要より)

 上記の説明資料における記載内容に関しては、金融商品取引業等に関する内閣府令第174条に定める事項が求められていますが、証券会社の概況及び組織に関するものでは上位10名までの株主に関する情報など、業務の状況に関するものでは有価証券の募集・売買等や自己資本規制比率・従業員の状況に加え、B/SやP/L・借入金の内容などの財産の状況に関するもの、内部管理や分別管理などの状況、企業グループの内容なども示す必要があります。 
今回の自主規制ルールにおいては、これを原則自社若しくは協会のホームページに掲載することとなりますが、地方の小規模証券会社で縁故者等で実質的に経営に関与していない上位10名までの個人株主に関しては、氏名ではなく個人とだけの記載内容を変更する配慮がなされています。

 一方、上場している証券会社の情報開示は株主や投資家を意識したものですが、適時開示(取引所規則)としての決算短信では、財務諸表とともに経営成績・財政状態に関する分析・事業のリスク・詳細な経営方針の具体的記載などが加わっています。この公表項目は、他の上場企業と同じですが、業績予想に関しては証券会社の事業内容が経済情勢や市場環境の影響を大きく受けることを理由として公表されていません。但し、同じく市場環境の影響が大きい日本取引所グループにおいては、業績予想は決算短信上で開示されています。

 また、有価証券報告書における記載内容は企業内容等の開示の関する内閣府令の第三号様式に定められたものですが、決算短信などに比べてより詳細な情報開示が求められています。例えば、役員に関する情報では略歴まで必要ですし、コーポレートガバナンスに関する記載では内部統制システムの整備状況、社外監査役や社外取締役との関係に関する記述も求められています。

 いずれにしても証券会社が顧客から信頼される為には、財務基盤のみならず、それを支える事業基盤(大株主や金融機関との関係、同業他社との関係、金融商品仕入先との関係)などに関する情報も重要になってきますが、情報開示強化を機に地方証券会社主体に金融機関や同業との提携が進む可能性もあり、今後その動向が注目されます。

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