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2017/06
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金融商品仲介業に係る動向について
金融商品仲介業は、投資家の市場アクセスの充実を図る為の証券仲介業制度として2004年4月にスタートしました。これは「証券市場の改革促進プログラム」の一環として、誰もが投資しやすい市場の整備を目的に、ファイナンシャル・プランナーなどの活用を想定した制度でしたが、2007年9月の金商法施行から現在の名称となっています。
本年1月末の金融商品仲介業者の状況は、855業者が金融庁に登録されていますが、最近は年100社程度が新たに登録している一方、70~80業者が登録取消しを行っています。
 金融商品仲介業務の展開については、主に以下3つのパターンがあります。

① 金融機関の金融商品仲介業務
金融機関は、金商法上では登録金融機関として債券や投信の販売を取り扱うことが出来ますが、顧客向けの商品部門を持たないので外国債券や比較的リスクの高い投信を個人に販売する場合、大手証券会社や外国証券会社の仲介業として、個人へ金融商品を提供する形態が定着してきました。

② 証券会社の販売網として
これは、中堅証券会社や対面の販売網を持たない大手ネット証券会社等が、ファイナンシャル・プランナーや税理士・保険代理店、個人などを仲介業者として自社の販売網に取り込もうとするものですが、実際に販売力のある仲介業者は独立性が強く、複数の証券会社の仲介業者のなるケースが目立っています。仲介業者からみた証券会社選択のポイントは、商品・サービスの品揃え、専用システム提供コストと手数料分配率、営業支援などですが、当初この戦略を推進していた大手証券会社は、全社的営業推進の難しさから販売網整備としての仲介業戦略から撤退しています。
また。大手ネット証券会社の仲介業戦略も最近分かれてきており、SBI証券は今までのIFA(独立系金融アドバイザー)のネットワーク化から、傘下の仲介業SBIマネープラザで大規模(3000人程度)に金融アドバイザーを増やしていく計画に切り替えたようです。一方、楽天証券はIFAの自社ネットワーク強化の為、仲介業者に対する支援を強化しています。

③ 証券会社営業拠店の業態転換として
中堅証券会社にとっての仲介業戦略は上記の販売網構築目的がある一方、自らの仲介業への業態転換や営業拠店の再編策として利用しています。これは、証券会社としての自己資本規制から解放されるとともに、他社システムや販売インフラを利用することが出来るメリットがある一方、営業員の帰属性や営業推進が低下する可能性があります。なお、FPL証券の様に販売力のある仲介業者の中から証券会社を目指す動きも出始めています。

 金融商品仲介業者の外務員数については、2016年12月末時点で、法人が3,104名、個人が327名で合計3,431名ですが、これは証券会社の外務員数89,942名の3.8%にしか過ぎません。また、ファイナンシャル・プランナーの有資格者数19.4万人の1.7%です。NISAやiDecoなどによる今後の個人投資家の拡大を考えた時、個人に対する投資アドバイスのチャネル拡大として仲介業者の増加が望ましいのです
が、証券会社・金融機関などのアドバイザーやファイナンシャル・プランナー資格者などからの参入の可能性があります。
 その為には、仲介業者の成功神話と独立支援・持続的なサポートが必要ですが、これらを全て仲介元に頼るようですと、結局仲介元証券会社などのコストが増加し、大手証券の戦略の様に自社内の営業網整備として社内に組み込まれていくこととなります。当初の政策期待の様に、独立性の高い仲介業者を育成するためには、金融商品仲介業務への参入バーを低くしたり、業界団体による独立支援を行うような動きがあっても良いように思われます。
 また、仲介業者が顧客のニーズに応え易くなるためには、債券や海外投資の代替手段としてETFの多様化なども役立つ可能性がありますが、その為には一層ETF取引への仲介業者のアクセスを容易にする体制やシステムが提供されれば、個人投資家に提供される投資アドバイスの幅も拡大し、仲介業務の質の向上に繋がっていくと考えます。

確定拠出年金制度について~iDeco利用は広まるか
1月から開始された個人型拠出年金制度(iDeCo)が注目を集めています。これまで、確定拠出年金制度(Defined Contribution、以下DC)に加入できなかった専業主婦や公務員が利用可能となり、企業年金の確定給付年金制度(Defined Benefit、以下DB)からDCへの移行手続き等も簡素化されました。

 DCは、2001年10月に制度が開始されましたが、その目的は少子高齢化による現役世代の負担軽減、公的年金の給付水準の引き上げによる自助努力の必要性に対応するものでした。また、企業の年金・退職給付制度にとっても、2000年4月から導入された退職給付会計制度によって積立不足が企業の財務評価に影響するようになった為、適格退職年金制度(2012年3月で廃止)等の受け皿として当初の利用が始まりました。

☆確定拠出年金制度について~iDeco利用は広まるか
・確定拠出年金制度導入の背景と現状について
・DCの何か変わったか
・iDeCoに対するそれぞれに期待
・DC推進で何か変わるか

今後、日本の資本市場はどう変わるのか
昨年5月より、金融審議会において日本市場や取引所などの在り方が議論されていました。これは、投資を通じた国民の安定的な資産形成の重要性が高まっていることや、ICTなど情報技術が進展していることで市場を取り巻く環境が大きく変わっていることなどを踏まえたものです。その報告書は、昨年12月22日に公表されており、議論テーマの各内容に合わせて今後関係法令などが整備されると予想されます。
以下に、同報告書の内容を簡略化したイメージ図にしてみました。

☆今後、日本の資本市場はどう変わるのか
・顧客本位の業務内容---証券会社も銀行も原則の策定と公表へ
・資産形成におけるETF活用---個人の積立投資向け低コスト商品開発と取扱いチャネル拡大は?
・取引の高速化への対応---HFTは、登録制導入へ
・市場間競争と取引所外の取引---PTSの承認取引拡大へ
・取引所グループの業務範囲---グループ内システム会社集約とフィンテック対応

個人への投信販売規制の流れ~フィデューシャリー・デューティ-にどう対応するか
個人の投資による資産形成で最も期待されている金融商品は投資信託です。
その販売チャネルの拡大として金融機関での取扱いが解禁(1998年12月)され、広く個人が利用していく為に投信の販売に関係するルールも強化されてきました。
一方、今年度の金融審議会での検討テーマの一つとして“国民の安定的な資産形成とフィデューシャリー・デューティ-”が上げられていましたが、国民の安定的な資産形成のためにフィデューシャリー・デューティ-の範囲拡大と内容の明確化が議論されました。その投信販売規制とフィデューシャリー・デューティ-議論の動向について以下に見直してみました。

☆個人への投信販売規制の流れ~フィデューシャリー・デューティ-にどう対応する
・個人への投信販売規制強化の流れ
・投信販売とフィデューシャリー・デューティ-(その課題とは)
・顧客本位の業務運営とは何か
・投信販売はどう変わるべきなのか

HFT規制の動向について
アルゴリズムを用いた高速のプログラム取引のことをHFT(High frequency trading)といいますが、2010年に高速化対応の取引システムであるアローヘッドが東京証券取引所に導入され、更にコロケーション・サービスも投資家に提供されたことで、日本においてもHFTの存在感が増しています。
最近の取引状況では、東証の全取引に占めるHFTのシェアは約定件数ベースで4~5割、注文ベースで7割に達していると言われています(金融審議会における事務局資料より)。但し、HFTを利用しない投資家にとっては、流動性向上のメリットの一方で、市場の想定外のイベントが発生した場合の価格変動の増大リスクや、取引の公正性確保への不安・不満などがあります。

 また、HFTを利用した相場操縦行為として、以下の事例が証券取引等監視委員会によって処分勧告されています。
・相手方のアルゴリズム取引の特性(指値変更注文に瞬時に反応)を利用することを意図した相場操縦。
・見せ玉を発注、第三者に取引が繁盛に行われていると誤解させてアルゴリズム取引による注文を誘引、その後全ての見せ玉を取り消し。
・最良売り(買い)気配に小口注文を発注後、反対の最良買い(売り)気配値に大口注文を発注、それに誘引されたアルゴリズム取引注文と小口注文を約定させた。
・売買を誘引する目的で大量の買い注文を連続発注、相場を変動させる一連の売買および委託。
・大引前約30秒間に、証券会社を介してDMAやアルゴリズムを用いて大量の買い注文を連続発注。 等

 昨年5月から行われている金融審議会の市場ワーキング・グループにおいても、HFTに対する欧米の金融当局による規制の動きを踏まえ、“取引の高速化”に関する新たな規制の一環として、アルゴリズム高速取引を行う投資家に対するルール整備が検討されていました。
HFTに対する規制案の概要は次の様なものです。(金融審議会市場ワーキング・グループ報告-平成28年12月22日より、制度の概要を抜粋)

☆HFT規制案について

【登録制の導入】
アルゴリズム高速取引を行う投資家に対する登録制を導入し、必要な体制整備・リスク管理義務を課す。
【規制の枠組み】
◇体制整備・リスク管理に係る措置 として、 取引システムの適正な管理・運営や 適切な業務運営体制及び財産的基礎の確保が求められる。また、事業報告書の提出も必要。
◇通知・情報提供に係る措置として、アルゴリズム取引を行うことの当局への通知 、 各注文がアルゴリズム取引によるものであることの明示、 アルゴリズム取引戦略の届出 、 取引記録の作成・保存が求められる。
【実効性の確保】
売買注文を受ける証券会社に対して、無登録でアルゴリズム 高速取引を行う投資家や、アルゴリズム高速取引を行うための体制整備・リスク管理 を適正に講じていることが確認できない投資家からの取引の受託を禁じる。海外の投資家に対しては国内における代表者又は代理人の設置を求める。
(証券会社については、既に一定のシステムリスク管理体制の整備や取引記録の保存等が求められている。)
なお、証券会社による取引確認だけではなく、取引所によるアルゴリズム取引を用いる投資家の調査も可能とする。

 上記の報告書をベースにHFTに対する法制度整備は行われていくものと予想しますが、取引所としては取引高速化に対応していくことがグローバルな市場間競争では必要条件となることに変わりありません。今後、欧米の規制動向を踏まえながら、HFT取引監視に対するノウハウを証券会社や取引所が蓄積していくことに期待します。

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